【映画】精神/想田和弘
精神科のドキュメンタリー映画である。よく、顔にモザイクをかけている映像があるが、この映画ではかけていない。名前も仮名ではない。
それにしても精神の病を持っている人は大変だなあ。本当につらそうだ。
映画の最後で、出演者の3人がなくなったとのコメントがあった。
亡くなったのは、世間話をしていても心ここにあらず、といううつろな表情だった女性、いびきをかいて待合室で眠り、起きてからもずっと極度に憂鬱そうだった東大卒の医師、映画の中では笑顔もあり、わりあいに明るくみえた鬱病の女性だった。
スガノさんというおっさんが中でも印象に残った。
学生の頃に1日十何時間勉強し続けて発病したとのことだった。カメラをとっている監督にむかって名言のような事を言い、自分でカットと言っては爆笑するおっさんだ。
割れたガラスをなぞりながら
「僕のこころはなあ、こういうふうになっとるんよ。だけどな、このガラスからは、ふつうのガラスとは違うもんがでている。なにか言うたらそれは、優しさ、うん、優しいという字は、にんべんに憂いと書くやろ、憂いが多い人ほどやさしいんや。…はいカット!!(爆笑)」
「自分の心の傷をいやす最良の方法はなんかいうたらな、相手の傷に包帯を巻くことなん。そしたら自分の傷がいやされる。経験あるでしょ。な。それから人の悩みを聴いたりしよったら、自分の心の傷もいやされる。…カット!!(爆笑)」
そのおっさんにとても心が惹かれた。ほんとうに、何か別の人とは違うものがにじみ出ている感じがした。
病や不幸を克服する人はその分だけ学び奇跡のように偉大になっていくのだと思う。
(柳川)