「相原慶樹展 peace offering 」  インスタレーション/ギャラリーK(京橋)

ギャラリーをガラスごしに見たとき、壁に何も展示していなくて、ガランとしていた。
床に、人の歩けるスペースを残して、作品がひろがっている。
私が見に行ったのは、最終日の一日前だったのだが、茶色のまだらの床のようなものが広がっていて、その中に「目」がある。目は、いろいろな表情をしているようだ。悲しそうな、疲れているような、そういう表情だ。
最初の日は、床は真っ白だったのだそうだ。徐々に茶色のまだらの文様が浮きだしてくる。毎日、変化を続ける床。目も、はじめはくっきりしていたそうなのだが、だんだんに茶色の中に埋没していったのではないだろうか。
どういう仕掛けの展示なのか、ということは、ここには書かないことにしよう。
毎日変化する床の展示、というのは、大胆で、またおもしろく、また、自然の作用が作り上げる「絵」は美しいと思った。
「peace offering 」の意味が、英語が身近にない私にはよくわからない。直訳すると、平和の申し出?
相原さんが、この作品のこととしてその時話していたことは、世界にある苦しみなどのことだったと思う。

(私には、世界のことは正直、よくわからない。そのことに、あせりのようなものを感じる。先生に毎授業、世界で起こっていることの話を聞いたり、新聞を読め、等言われているのだが、まったく身に付かない。身近なことしか考えることができない。だが、身近にも深い悲しみや悲惨なことはあるし、美も醜も、なんでもあると思っているから、私はそういう性質なのだ、と思うしかないのかもしれない。)

丁度、内田輝さんが見に来ていて、相原さん、内田さんの話を聞いていると、ハイテンションだな、と感じる。それは、騒いでうるさいハイなのではなく、静かにハイテンションだと思った。表現することに心を注いでいる人たちだな、と思った。
もっと美術に打ち込まなければならないな、と思ったのだった。
(相原さんが、美学校の人、あんまり絵描いてないでしょ、もったいないよね、と言っていた。みただけでわかってしまうのだろうか。)

展示: 2008年12月15日(月)〜25日(木) 

(柳川)